注文方法

さてFXの仕組みと為替相場の大まかな見方がわかった所でいよいよ実際の注文に関する内容に触れていきたいと思います。FXの「取引」は基本的に通貨を買う事または売る事で「新規ポジションを確保する」事からはじまり、買った通貨を売るあるいは売った通貨を買い戻す「決済」を行う事で完了という形式をとっています。(→FX初心者向上委員会)しかしFXはただ買いたい瞬間に手動で買い売りたい瞬間に手動売るといった方法以外に、ポジションを確保する方法や決済を行う方法が数多く用意されています。


初心者でもわかるFXの注文方法

FXの注文方法はまず成行、指値、逆指値といった株式等でもお馴染の取引方法の他に、FXならではのIFDやOCO、IFOなどの注文方法が用意されています。

このあたりの基本となる注文方法は大抵のFX会社(商品)では対応していますが、一部の注文方法はその会社特有の物であったり会社によっては対応していなかったりする場合もあるようです。

注文方法

・成行
成行(なりゆき)注文とは数あるFX注文手段の中でも最もシンプルかつスピーディーな注文方法です。同時にこの注文方法では手動で新規ポジションを取得し、また決済に関しても手動で行う為最もアナログな注文手段だと言えます。基本的には余程安定した通貨ペアでもない限り買う時も売る時も相場を常に見張っている必要があるので短期売買でどちらかというとよく用いられる注文方法です。ただこの方法は約定するまで相場がいくらの時の注文が通ったかわからないのが難点です。確約スピードによっては注文を発注してから確約するまでのタイムラグによって想像していた相場と少しずれた値で確約している場合もあります。初心者の方はまずこの成行注文でだいたいの手応えを掴んでいくと良いでしょう。

・指値・逆指値
指値(さしね)または逆指値注文とは予めポジションを約定する額を決めておき、その額に至ったら自動でポジションを取得するように設定しておく方法です。例えば指値注文なら今は1ドル=100円だけど1ドル=95円まで下がったら買いで注文したいな、といった時に便利です。それに対し逆指値は指値の逆、つまり今は1ドル=100円だけど1ドル=95円まで下がったら売りで注文したいな、といった時に便利です。約定の条件金額を設定するこの方法なら約定した際の相場(利益)が絶対決まっているので正確なポジション所得時の数字を把握する事が可能です。ただこの注文方法は指定した相場になるまで注文が出されないので注文した事自体を忘れてしまう場合等があります、初心者の方は特に注意するようにしましょう。

・IFD
IFD(イフダン)注文とは取引開始の条件と決済の条件を両方設置し、取引開始の条件が満たされて初めて決済の条件が発動するタイプの注文になります。イフダンとは即ち「もし○○ならば、○○を行う」という意味であり、例えば「1ドル=105円になったらポジションを取得し1ドル=110円になったらポジションを決済する」といった注文の出し方が可能です。このIFD注文では設定したポジション確保の条件と確約条件を相場が満たせば自動で処理される事になります。ただし気をつけなくてはいけないのは例えば前述の例なら105円になった為ポジションが自動で所得したものの想定した110円まで到達しないまま円高がはじまってしまい、決済が行われないまま損益が増えていくといったパターンです。その為こちらもある程度、成行や指値程ではありませんが定期的に面倒を見る必要があります

・OCO
OCO(オーシーオー/W指値)注文とは1つのポジション取得に対し二つの注文を同時に付け、自分にとって都合の良い条件が満たされたら自動で施行され、施行されなかった法の注文はキャンセルとなる便利な注文方法です。例えば1ドル105円の時にポジションを所得し「107円まで円安が進めば売り」「104円まで円高が進めば売り」の二つ注文をつけます。107円まで上がればしっかり利益が得られますし、逆に104円まで下がっても損失を小さく抑える事が可能です。このOCO注文を上手く使えば理論上限りなく低リスクで利益を求める事が可能であり、設定の仕方次第ではFXにおい高い汎用性を発揮します。

・IFO
IFO(アイエフオー)注文とはその名前の字面からもわかるようにIFD注文とOCO注文を合わせた注文方法になります。従って例をあげるのであれば「1ドル=105円まで下がったらポジションを取得し(IFD)、110円まであがったら決済する、あるいは104円まで下がったら損切り決済する(OCO)」といった注文の仕方が可能です。こちらは注文から決済まで設定次第ではほぼセミオートで行う事ができ、四六時中相場にはりついている事が出来ないFXユーザーには特に優れた注文方法になります。また便利な注文方法ではあるので初心者の方も是非いずれは物にしたい所です。

・トレール
トレール注文とはポジション所得の際にいくら以上相場が下がったら自動決済するという事を予め設定する注文方法になります。例えば1ドル=100円の時にポジションを確保して「1円以上相場が下がったら決済」するといった注文をするとします。もしポジション所得後すぐ1ドル=99円になったら当然トレール注文では決済(1円分の損)が行われます。一方1ドル=101円、102円、103円と円安が続く限りこの注文方法ではポジションが維持され、そして一度103円になった後102円まで下がれば「1円以上相場が下がった」ので決済(2円分の得)が行われます。この方法は相場の数値に左右されず変動幅によって自動決済が行われる事からFXの利益の伸びを最大限に活かす事が出来る他初心者の方でも扱いやすい注文方法となっています。

・ストリーミング
ストリーミング注文とは決済注文を出してから実際に約定するまでのタイムラグに設定した値以上の相場変動があった場合注文をキャンセルするといったシステムです。ストリーミング注文では「スリッページ幅」という変動許容範囲を設定します。例えば「スリッページ幅2銭」に設定した場合、決済注文を出したのが1ドル=100.00円なら確約時に1ドル=99.98~100.02(差額2銭以内)なら約定となります。また「買い」の場合100.03銭を超えた相場変動があった場合この注文は無効という事になりますが、「買い」にとって有利な方向への誤差(99.97以下)の場合は無効にならずそのまま約定が行われます。勿論「売り」の場合1ドル=99.97銭は不成立となる他、1ドル=100.03銭は売りにとって有利になる為約定が行われます。

・2WAY
2WAY(Two Way Price)注文とはポジションを所得する前に相場を一定時間(8秒間)固定し、その上で「買い」か「売り」かを選ぶ事が出来る注文方法になります。例えば1ドル=100円の時点で2way注文を出すと、この1ドル=100円という相場は8秒間固定されます。勿論実際の相場は常に変動し続けますし利用者も相場を固定しつつその相場の変化を確認する事ができます。そして例えばこの8秒間の間に1ドル=100.03円と円安が進んだら「買い」を、1ドル=99.98円と円高が進んだら「売り」を選択するといった事が可能です。また例えば8秒後の時点では100.03円だとしてもポジションの取得は100.00円の相場で行われる為既に少しアドバンテージがある事になります。

・両建て
両建て注文とはFX会社側が設けているシステムではなくユーザー側が同通貨ペアで「売り」と「買い」両方ポジションを所得する方法です。技術的に出来ない会社(商品)こそ無いものの一部の会社ではこの両建て注文を禁じ手として禁じている会社もあると言います。同じ額で「売り」と「買い」両方を行うという事は、相場が高くなっても安くなっても極端な話プラスマイナス0という事です。加えて手数料やスプレッド、必要な証拠金も2倍となるので極めて上級者向けで初心者にはおすすめし辛い注文方法である事はたしかです。この方法ではどちらに転んでも損益0の状態でしばらく通貨ペアを監視、相場が大きく傾いた瞬間どちらかを決済するといった目的で用いられます。

・途転
途転注文、あるいは「ドテン」とは決済の瞬間今まで確保していたポジションとは逆のポジションを新規で注文する方法になります。例えば「買い」でポジションを確保し、1ドル=110円まで円安が進んだ所で今度は円高が始まったので決済をするとします。ここで新たに1ドル=110円の状態から「売り」でポジションを確保するという事です。FXではどちらか一方に相場が大きく傾いた時何かの拍子で逆方向に戻る力が強く働く事があり、この変わる力と戻る力両方を余すことなく利益にしようという手法です。

ここで紹介したのはまだまだFX注文方法のほんの一部に過ぎません。オフセット注文やトライオート注文など初心者から上級者まで幅広い層に向けられた新しい注文方法も次々に登場しています。特にポジション取得や決済の自動化、あるいは半自動化は進行しており設定次第では仕事中や就寝中のFX相場動向も幅広くカバーできるようになりました。 戦略

初心者の方はまず自分にどういった取引方針が、そしてその取引方針にあったどの注文方法が向いているかを色々試しつつ知識として、そして感覚的に覚えていくと良いでしょう。注文手段はあくまでその自分の読みを最大限の儲けにする為のツールに過ぎません。注文方法は多種多様ですが最後はやはり何処まで相場が自分の読み通りに動くかにかかっています。

損失被害の減らし方